見習い兵士 イグナイの場合 【第6話】

【6話】入団演武

 旅の武芸者と流花の手合わせは、存外はやく決着がついた。
 流花の忍術の前に翻弄され毒蛇に絡み取られるように術中に落ちた。
 流花は、一瞥し気絶してる槍使いの男の横隔膜を、踏みつけた
 ゴボッ意識を取り戻した武芸者は、おもむろに飛び跳ね土下座して流花を拝み倒して 
 叫んだ。

旅の武芸者 「御見それいたしました!流花様!一命だけは、どうかお許しを!」
       (必死の形相で、流花を見上げる)

流花    「ふん!己のような小物 命まではとりません!」
       (男の顎を蹴り上げて、男の槍を投げつけた)

     「とっととうせろ!お調子者め!我らの前に2度とあらわれるんじゃない!」

旅の武芸者 (男は槍をしまいうずくまるとおもむろに流花の前に進み出て平伏する)
     「ほっほれた!なんと強く天女のように美しいお方!私をぜひ下僕として一行
      にお供させていただきたい!お願い致します!」

流花.イグナイ (顔を見合わせまさかの反応に、目くばせすると大笑いした。)


流花    「あははは・・あれだけの大口をたたいて、負けた挙句にその言い草!
       見上げた道化ものだなお主は!」

イグナイ  「わっははは、まあ根っからの悪党ではなさそうだ。
       流花よ・・どうもひとめぼれのようだぞ。どうする?」

流花    「道化に付け回れるのはおちつきませぬ。
       もう一度気絶させてその辺につるしていまいましょうw」

イグナイ  「まあ待て!いくらお主の方が役者が一枚上だったとはいえ、
       その者決して弱くはないぞ」
       その武術も、精妙だし腕は確かのようだ。流花殿の下男として仕えると、
       いうのだからこれからの道中の役には立たないか?」

旅の武芸者 「若君様 何卒お願いたします。
       これからの旅の役必ずたってみせましょう!」

イグナイ  「お主名を何という?」

旅の武芸者 「我が名は、アマ タケル 天 武と申しまする。」

イグナイ  「それはお主の名乗りなのか??随分と大げさな名前だなw」

天 武   「我向かうところ敵なく少々飽いていたでござる。       
       一流の武芸者を目指すため名前負けせぬようにつけ申した。」

流花    「十分名前負けしているともおもうの、その話も信用できないわ」

イグナイ  「流花どのは手厳しいのだな!こうしよう!
       天武よ もう一度だけチャンスを与えよう見事
       この俺から一本とったなら、共に加えて進ぜよう!」
天 武   「かたじけない願ってもない事よ!
       若君に稽古つけて頂けるとは!ぜひお願いたしまする」

 流花は首を振りその様子を見守った。

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